日本経済新聞

2010/9/19付日本経済新聞朝刊

 9/19付日経新聞の記事によると、この秋から税務署による個人の所得や資金に関する調査が本格化するとのことです。
 この調査は、昨年2009年分の申告・課税もれを見つけるのが目的で、今年は特に無申告や海外所得などを重点調査するそうです。いまさら去年の調査をと思われる方も多いかと思いますが、税務署が前年の調査を本格化するのは、翌年の秋から年末にかけての時期と言われています。

 「昨年、生命保険の満期金を受け取ったはずだけれどその申告がない」などと、突然の税務調査で慌てる前に、ここで満期返戻金の税務についてまとめておきます。昨年度分の申告をお忘れになってしまった方は、要注意です。

 通常、積立型の生命保険や損害保険の満期時に受け取る満期返戻金には、次のような課税関係が生じます。

  1. 保険契約者(保険料負担者)と満期返戻金受取人が同一の場合には「所得税」
  2. 保険契約者(保険料負担者)と満期返戻金受取人が異なる場合には「贈与税」

 上記1に該当する所得税の場合には、保険金を一度で受け取る場合は「一時所得」、年金で受け取る場合は「雑所得」として課税されます。
 「一時所得」のケースでは、満期返戻金等と払込保険料の差額から50万円の特別控除額を除いた金額が一時所得金額となり、その2分の1を他の所得と合算して申告しなければなりません。つまり、もらった返戻金と払った保険料との差額益が50万円以下の場合には税金がかからず、50万円超の場合にはその金額の半分が他の所得と合算されて課税されることになります。

 但し、以下に該当する保険契約については、総合課税ではなく20%の源泉徴収課税となります。

  • 保険期間が5年以下(5年以内の解約も含む)の一時払い養老保険
  • 保険期間が5年以下(5年以内の解約も含む)で、かつ補償倍率(補償金額÷満期返戻金)が5倍未満の一時払い積立損害保険(積立火災保険、積立傷害保険等)。但し、補償倍率が5倍未満のケースに当てはまる積立損害保険はほとんどないはずです。

詳しくは国税庁の↓のページに記載がありますので、参考にしてください。
http://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/1755.htm

 ちなみに、同一人に対する満期返戻金の支払額の合計が年間100万円を超えた場合、保険会社は所轄の税務署に支払調書を提出します。誰々にいくらの満期返戻金を支払いましたと保険会社が税務署に知らせるわけです。ですから、該当する方はきちんと申告することをお勧めします。

★ 同じカテゴリーの記事