死亡保険金の相続税非課税限度枠縮小へ
平成23年度税制改正大綱が発表されマスコミ各社でもすでに報道されていますので、多くの方がその概略をご承知のことと思います。概ね法人は減税、個人は増税といったところでしょうか。
その中で、相続税について死亡保険金の相続税非課税枠の見直しが行われる見込みです。
まず現行では、「死亡保険金に係る非課税限度」は次のようになっています。
500万円×法定相続人の数
つまり、妻と子供2人がいる夫の死亡保険金は、
500万円×3人=1,500万円
までは無条件で非課税となります。
一方改正案では、上記の法定相続人の数に算入できる条件を次のように限定するとしています。
- 未成年者
- 障害者
- 相続開始直前に被相続人と生計を一にしていた者
この改正の趣旨について、財務省資料には次のように記載されています。
死亡保険金の非課税措置については、「相続人の生活安定」という制度趣旨の徹底の必要性や他の金融商品との間の課税の中立性確保の要請等を踏まえ、算定の基礎となる法定相続人の範囲を縮減します。
つまり、すでに独立して生計を立てている法定相続人はこの趣旨に適さず、死亡保険金非課税枠算出においては法定相続人の数に算入できないことになります。これにより、養子縁組で単純に法定相続人の数を増やすなど相続税の節税目的で生命保険を利用することも事実上難しくなったと言えます。
但し、場合によっては今までより少し課税額が多くなるケースが増えるとは言え、「生命保険金は遺族が現金で受け取れる遺産」という本来のメリットは普遍で、遺族の生活保障や、納税資金・遺産分割対策資金等の準備として有効な方策であることに変わりはありません。
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