地震による被害と保険の補償について(まとめ)
- 2011年 3月 12日/Last modified 2013年 6月 13日
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2011年3月11日に発生した「東北地方太平洋沖地震」によりお亡くなりになられた方々のご冥福をお祈りするとともに、被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。
昨日Twitterで速報いたしましたが、ここであらためて地震による被害状況別に各種保険の補償内容をまとめてみたいと思います。
1.地震・津波によって建物や家財・什器が損壊したり流失してしまった場合
住宅や家財(生活用動産)が被害を受けた場合は、火災保険に付帯して「地震保険」に加入していれば、一定の基準に基づき補償を受けられます。地震保険の詳しい内容や保険金支払い基準については、地震保険制度の概要(財務省)をご参照ください。
事業用物件が被害を受けた場合は、火災保険に「地震危険担保特約」を付帯していれば補償を受けられます。尚、「地震危険担保特約」は保険会社との個別契約案件のため、補償内容はその案件毎に定められていますので、ご契約先の保険会社にお問い合せください。
2.地震によって火災が発生し、建物や家財・什器が燃えてしまった場合
上記1と同様に「地震保険」または「地震危険担保特約」に加入していない限り、火災保険だけでは補償が受けられません。また、他からの延焼被害についても同様です。この点につきましては、本HP内のこちらの記事をご参照ください。
尚、火災保険に「地震火災費用保険金」が付帯されている場合には、地震を原因とする火災により一定以上の損害を受けた場合に、概ね火災保険の補償金額の5%かつ300万円を限度として保険金は支払われます。但し、この「地震火災費用保険金」の保険金支払い基準は、各保険会社ならびに保険種類毎によって異なりますので、ご契約先の保険会社にお問い合せください。
2.地震・津波によってケガをされた場合
損害保険会社の傷害保険や生命保険会社の医療保険に加入していても、残念ながら入院給付金・通院給付金については補償が受けられません。
但し、傷害保険に「天災危険担保特約」を付帯している場合は補償が受けられます。
また、医療保険については、被害を受けた方の数が保険数理の計算基礎に及ぼす影響が少ないと判断された場合に限り、給付金の全額もしくは一部が支払われます。過去にも同様の事例がありますが、あくまで保険会社の決定に委ねられますので、今回の地震については今後の発表を待ちたいと思います。
※2011/3/12 15:58付の日本経済新聞WEB刊によれば、日本生命・第一生命・住友生命の大手生命保険会社は12日、「被災した契約者に対して災害関係の特約である死亡保険金や入院給付金を全額支払うことを決めた。」と発表があったとのことです。また、「明治安田生命保険や富国生命保険も同様の措置を取る方向で検討している。」とあります。
※2011/3/15の段階で、全ての生命保険会社が同様の措置を発表しました。自動車保険の「自損事故傷害特約」「人身傷害保険金」「搭乗者傷害特約」は補償は受けられません。
3.地震・津波によって死亡された場合
生命保険の普通死亡保険金は受け取れます。
尚、生命保険で災害による死亡の場合に保険金を上乗せして支払う「災害割増特約」や「傷害特約」については、保険金は受け取れません。但し、上記2の医療保険のケースと同様、保険数理の計算基礎に及ぼす影響が少ないと判断された場合は、全額もしくは一部が支払われる場合があります。
傷害保険の死亡保険金については上記2同様、「天災危険担保特約」を付帯していれば保険金が支払われます。
自動車保険の「自損事故傷害特約」「人身傷害保険金」「搭乗者傷害特約」は保険金は支払われません。
4.地震・津波によって車が損傷したり流失してしまった場合
地震による建物の倒壊や落下物によって車が損傷した場合や、津波によって車が流されてしまった場合等は、自動車保険の車両保険に加入していて、かつ「地震・噴火・津波特約」を付帯している場合に限り、補償が受けられます。
5.地震・津波を原因とする他人への賠償責任について
原則として地震・津波を原因とする事故において、法的賠償責任は生じないとされています。従いまして、自動車保険の「対人・対物賠償」や企業分野の賠償責任等については、法的賠償責任が生じない限り保険事故とはならないため、補償対象とはなりません。
各地の被害が次々に報道されるたびに心痛を深めるばかりですが、安全を第一に確保し、国民全体で助け合いの精神を持ちこの危機を乗り越えたいと思います。
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