自転車事故 「自賠責制度の対象に」被害者団体が提言
少し前の話になりますが、先日8/30の新聞に「自転車事故も自賠責制度の対象に」と交通事故被害者団体が国土交通省に提言したという記事が載りました。
自動車には自賠責保険(自動車損害賠償責任保険)が強制加入となっていますが、「自賠責保険は被害者救済が目的なのに、自転車は対象外として事故被害者を救おうとしないのは非常におかしい。自転車にも自賠責保険という強制加入制度の導入で救済すべきだ。」という考えです。
この背景には、自転車と歩行者の事故が急増し自転車側への高額賠償判決が相次ぐ中、保険未加入の自転車の事故で被害者が賠償を受けられないケースが生じていることがあります。
これに対して国交省は、「自転車の実際の利用台数が不明で、どの程度の保険料とすればいいのか推計できない。車検のような機会がなく保険料の徴収も困難」と否定的です。
2009年6月に道交法が改正され、「自転車は車道通行がが原則、歩道は例外」となりました。筆者もたまに自転車に乗りますが、車道を走っていても駐車中の車があったりしてうまく車道を走ることができず、ついつい歩道を走ってしまうことがあります。もちろん、歩道走行の場合には歩行者優先に十分配慮しているつもりですが、中にはそんなことはお構いなしにかなりのスピードで走っていく人もいます。
先の自転車の強制保険加入制度には、「自転車本来の経済性と手軽さが損なわれる」とする識者の意見もあるようですが、筆者としてはなんらかの措置を早急に講じる必要があると思っています。皆さんはどのようにお考えでしょうか?
現時点で私達保険代理店がこの問題にお役に立てることがあるとすれば、自転車を運転される方に「個人賠償責任保険」の加入を強くおすすめすることです。ご存じの方も多いと思いますが、民間の保険会社が扱っている保険です。最近では単独で販売されることはなく、火災保険や自動車保険等の特約(オプション)として加入できます。
この保険(特約)は、「日常生活で他人の物を壊してしまったり、他人を死傷させてしまった場合に、相手に対する損害賠償金を支払う」という内容です。自転車事故はもとより、愛犬が他人に噛み付いてしまった等々日常生活上のほとんどの賠償事故が対象となります。ひとつの契約で家族全員が対象となり、しかも僅かな保険料で加入できます。自動車保険と同じように示談交渉まで代行してくれる保険会社もあります。
警察庁の統計によれば、2009年の自転車事故は15万6000件を上回っています。2005年の横浜地裁判決では、自転車対歩行者の事故で、加害者である自転車運転者に対し約5000万円の損害賠償金支払いを命じています。自転車を運転する者として、万一事故を起こしてしまった場合、せめて被害者に対して十分な賠償ができるようにしておくことは、当然の責務ではないでしょうか。
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