「がん保険」の落とし穴
日本人の死因トップはがんです*1 。とは言え、早期発見・早期治療で生存率は高くなっています。でも、がんと闘うためにはお金が必要です。
実は筆者は妻をがんで亡くしました。3年間に及ぶ闘病でしたが、最初にがんが見つかって根治手術をした時に約80万円、その後の抗がん剤治療で月平均約10万円、その他の費用を含めると総額で500万円*2 近くかかりました。
ご自分ががんにかかってしまった時の経済的負担を賄うためにがん保険に加入されていると思いますが、ご自分のがん保険の保障内容を把握されているでしょうか?
万一がんになった時に保険が役に立たなかったなどと言うことがないように、少なくとも次の3点いずれかに当てはまらないかどうか、今すぐ確認してください。
- 上皮内新生物の場合には保険金が受け取れない
上皮内新生物とは、以前は上皮内がんと呼ばれていたもので、大腸の粘膜や子宮頸部によくできるごく初期のがんです。肺・乳・胃・食道・肝臓・すい臓・膀胱も、まず上皮内にがんが発生すると言われています。臓器粘膜の上の層である上皮内にがんが留まっているため、早期に切除すれば直ります。せっかくがんの治療を目的としてがん保険に加入していても、こうした初期がんが対象となっていない保険では意味がありません。
- がん診断給付金が一回しか受け取れない
初めてがんと診断された時に一時金で受け取れる「がん診断給付金」は、その後の治療について経済的にも精神的にも大きな役割を果たします。がん根治手術をしても、何年後に運悪く他へ転移してしまうこともあります。こうした場合、最初しか受け取れない診断給付金では、がんと闘うには不十分です。
- 60歳から保障が半分になってしまう
古いタイプのがん保険の場合、60歳になったらそれまでの保障額が半分になってしまうものがあります。通常高齢になればなるほどがんになる確率が高まるのに、これでは意味がありません。
上記3点のひとつでも当てはまった方は、これを機に見直しされることをおすすめします。健康であればいつでも新しい保険に加入できます。
但し、がん保険は契約後90日間の「待機期間(待ち期間)」というものがあり、その間に診断されたがんは保障されません*3 。従って、新しいがん保険に切り替える場合には、待機期間中は古いがん保険を残しておいてください。
また、古い保険に解約返戻金がある場合、通常解約返戻金は払込保険料合計額より少ない金額となります。このほかに配当請求権が消滅したり、新しい保険が健康状態などにより加入できない場合もありますので、注意が必要です。
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(注)
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