TVコマーシャルでもよく耳にする「生涯保険料が変わらないから安心」というフレーズ。今回はこれについて、10年更新型と終身型の医療保険を例にとって検証してみます。

 10年更新型とは、10年毎に同じ保険を更新していくもので、たとえ更新時に病気であったとしても無条件で更新が可能です。80才(保険会社によっては90才)になるまで更新していくことができますが、更新時の保険料はその時の年令と保険料率で再計算されるので、10年毎に保険料が高くなっていきます。一方終身型は、契約当初の保険料が生涯一定で、保障期間は文字通り終身(死ぬまで保障)です。

 TVコマーシャルでお馴染みのA社の日額1万円が出る医療保険に30才男性が加入すると、10年型と終身型の月額保険料の推移はそれぞれ次の通りです。
(※A社のWEBサイト上で試算、補償内容及び条件はどちらも同じ、解約返戻金はどちらもなし、10年更新型の更新時年令における保険料は現在の保険料率が変わらないと仮定)

 

  10年更新型 終身型
30才契約時 1,980円 3,370円
40才更新時 2,660円
50才更新時 4,300円
60才更新時 6,360円
70才更新時 10,400円

 

保険料払込総額は、

 

  10年更新型 終身型
60才迄の払込総額 1,072,800円 1,213,200円
70才迄の払込総額 1,836,000円 1,617,600円
80才迄の払込総額 3,084,000円 2,022,000円

 

となり、60才迄では10年更新型が約14万円少なく、70才迄では終身型が約22万円少なく、80才迄同じ保険を続けた場合には終身型の方が約106万円も少なくて済むことになります。従って、80才迄同じ保険を続ける確信があるなら、すばり終身型をおすすめします

 ここで、少し視点を変えて考えてみましょう。ご承知のように、医療保険は常に進化しています。一昔前までは、ケガなら5日以上、病気なら8日以上入院しないと保険金が貰えませんでしたが、今は日帰り入院でも保険金が貰えるようになっています。最近では、先進医療にかかる技術料を保障する商品も登場してきました。今後も公的医療保険制度や社会のニーズに合わせて、民間医療保険が進化していくことは容易に想像がつきます。言い方を変えれば、何年も前に加入した医療保険では、時代のニーズに合わなくなってしまう恐れがあります。
 そこで、上記の例で、「45才の時にとてもいい保険が発売されたので、今の保険を解約して新しい保険に乗り換る」と仮定した場合の、それまでの保険料払込総額を比較してみます。

 

  10年更新型 終身型
45才迄の払込総額 397,200円 606,600円

 

 このケースでは、10年更新型の方が約21万円安くて済みます。健康ならばいつでも新しい保険に乗り換えることが可能ですし、上記医療保険はどちらも掛け捨て型ですから、途中解約の損もありません。従って、新しくていい保険が出たら途中で乗り換えたいと考えるなら、10年更新型をおすすめします

 もちろん、保険料の損得だけが保険選択の決め手ではありません。「少しでも保険料を安くしたい」と思われる方もいれば、「多少保険料が高くても、ずっと保険料が変わらない方が安心できる」とお考えの方もいると思います。
 要は、「生涯保険料が変わらないから安心」というセールストークを鵜呑みにせず、しっかりとご自分のライフプランやニーズを確認し、商品内容を理解してから保険に加入することが大事なのです。

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